はにわ展だが、ポピュラーな人物も動物もいない。奈良県立橿原考古学研究所(橿考研)付属博物館で開催中の「家形埴輪(はにわ)の世界」(朝日新聞社など後援)は、古墳時代の建物をかたどった家形埴輪だけを並べた珍しい特別展だ。
東西日本の「横綱」がそろい踏み
奈良を中心に、全国53遺跡から60棟分が集う。前期(4世紀ごろ)、中期(5世紀ごろ)、後期(6世紀ごろ)。古墳時代各期の代表格を厳選した。
なかでも、東西日本でそれぞれ最大とされる大型品のそろい踏みは見ごたえがある。西日本の今城塚古墳(大阪府高槻市)の出土品は高さ1・71メートル。日本最大でもあり、鰹木(かつおぎ)、千木(ちぎ)が設けられた屋根を持つ神殿のような高床式建物。真の「継体天皇陵」と呼ばれる大型前方後円墳にふさわしい威容だ。東日本の富士山(ふじやま)古墳(栃木県壬生町)のものは、連続三角文と呼ばれる文様と天を向く屋根が特徴的。高さは1・68メートルを誇る。
この二つの埴輪が作られた古…